日本 相続税創設 変遷 歴史

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相続税創設の目的

相続税の仕組みとあらましや歴史がイメージできる画像

 

相続税創設の目的は日露戦争の戦費調達

歴史の話になりますが、1904年(明治37年)2月に開戦した日露戦争の膨大な戦費調達のために、第一次増税として非常特別税法により、各種の増税が図られました。

 

しかし、戦局が進むにつれて戦費がさらに必要とされました。翌年の1905年(明治38年)には、第二次非常特別税法により、地租や所得税などの税率が再び引き上げられました。そして、相続税が創設されました。

 

しかし、非常特別税法としてではなく、単独法として規定されており、相続税については戦時の臨時的な増税と位置づけられず、永久的性質の財源とされ恒久化されることになったのです。

 

このように相続税は江戸時代の世襲制度とは真っ向から対立する制度で、明治時代以前にはなく日露戦争の戦費調達財源として創設されたという過去があるのです。

 

※世襲制度=世襲(せしゅう)とは、特定の地位(官位や爵位など)や職業、財産等を、子孫が代々承継すること。
家に伝わる爵位を継承することを襲爵、位階・地位などを世襲することを襲位、先祖伝来の名跡などを世襲することを襲名という。法的な根拠を有する場合に限らず、事実上の場合についていうこともある。


相続税は偶発所得に対する課税

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相続税は偶発所得に対する課税

相続税創設時の立法の根拠とされたのは、相続財産の取得という事実に着目し、それを相続による偶発所得の発生ととらえ、その所得(財産)に対して、負担能力に応じて課税を行おうとする「偶発所得課税説」といわれています。

 

なお、現在の相続課税の根拠としては、「富の再分配」が第一に挙げられますが、創設時の税収は戦費のために使われ、また極端な低税率であることから「富の再分配」機能はありませんでした。

 

「富の再分配」という根拠が登場するのは終戦後で、GHQによる財閥解体という占領政策上の必要から、税制改正の勧告の中に色濃く打ち出されたわけです。

 

日本は本来、相続税は不向きな家督相続の国であったわけですから、税率の高い相続税は外圧により始まったといっても過言ではないでしょう。

 

ちなみに、ドイツでは1906年(明治39年)、アメリカでは1916年(大正5年)、イギリスでは1949年(昭和24年)に創設されたわけですから、相続税に関しては日本は世界でも先進国といってもいいかもしれません。

 

 


創設時の相続税

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相続税課税方式

明治時代に相続税は、相続・遺贈または死因贈与により財産を取得した個人を納税義務者とし、相続財産を課税標準として創設されました。

 

相続税の課税方式は、遺産の総額を対象とする「遺産税方式」と取得者ごとの取得財産を対象とする「遺産取得税方式」がありますが、創設時においては「遺産税方式」が採用されておりました。

 

税率

家督相続は家系・地位の一切を相続しその義務が多大であるとして、創設時の相続税は、相続を家督相続と遺産相続に分けて課税しておりました。

 

家督相続の場合の最低税率は、1,000分の12(1.2%)と大変低いものとされていました。
遺産相続の場合は家督相続の場合よりも若干税率が高くなっており、最低税率は1,000分の15(1.5%)とされていました。

 

贈与

また、贈与に対する課税については、一般的に贈与税の課税はなく、推定相続人等の特定の者に高額な動産などを贈与した場合に、相続が開始したものとみなされて相続税を課税する、という特殊な形態が採用されていました。

 

さらに、当時は申告納税制度ではないので、納税手続きとしては、相続人から相続財産の目録及び債務等の明細書の提出を受けて、税務署が課税価格及び税額を通知する、という賦課課税方式でした。

 

相続人・遺言執行者等は、課税価格決定に対して異議がある時は、異議の申し立てをして再審査を請求することができ、税務署長は再調査した上、相続税審査委員会に※諮問(しもん)して課税価格を決定していました。

 

この相続税審査委員会は税務署ごとに設置され、大蔵大臣の任命を受けた収税官吏(しゅうぜいかんり)2名、直接国税を100円以上納税する者3名で構成されていました。
※諮問=有識者または一定機関に、意見を求めること。


戦前の相続税の変遷

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戦前の相続税の変遷

この後、相続税はたびたび改正が行われました。

 

1910年(明治43年)には家督相続の税率が高いという世論の反発により税率が引き下げられました。1914年(大正3年)には家督相続に対する特別控除金が認められました。

 

しかし、1926年(大正15年)の税制改正では、低所得者の負担を軽減させるために、生活必需品に対する課税が廃止される一方で、高額所得者に対する負担は若干増加となりました。

 

お酒、タバコ等の嗜好品に対して増税が行われる中で、相続税も免税点、税率の引き上げなどの増税が行われました。

 

以後、相続税は、1937年(昭和12年)には臨時租税徴収法により、また増税となり、1940年(昭和15年)には太平洋戦争の戦費調達のために、さらに増税が行われました。

 

しかし、この間においても相続税法では、創設当初と同様に家督相続に配慮し、「家」の保護が行うため、相続税は低く抑えられており、創設時における基本的な構造を変えずに終戦を迎えることとなります。

 


戦後の相続税の変遷

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戦後に入り、1947年(昭和22年)の憲法、民法の全文改正により家督相続が廃止されました。
それに伴い、1958年(昭和33年)までの短い期間に、4度の大きな改正が行われています。

4度の改正

  • わが国が連合国軍による占領下におかれていた1947年(昭和22年)のシャベル勧告
  • 1950年(昭和25年)におけるシャウプ勧告
  • サンフランシスコ講和条約が発効し占領から独立した後の1953年(昭和28年)
  • 1958年(昭和33年)の改正です。

 


シャベル勧告による税制改正

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1947年(昭和22年度)の抜本的な相続税法の改正の要点は、

1.民法の改正に対応して家督相続と遺産相続の課税区分を廃止したこと
2.贈与者の一生を通じた贈与財産の累積額に対して課税するという贈与税の創設
3.賦課課税方式を廃止して申告納税制度を採用したこと

 

シャベル勧告による税制改正

これらの改正については、1946年(昭和21年)11月に、GHQから日本政府に発せられた「日本の相続税及び贈与税に関する原則と勧告」(シャベル勧告)に基づいて行われたもので、勧告では最低税率(1.5%)の引き下げ、最高税率(55%)の大幅引き上げが提案されました。

 

しかし、インフレ解消のための税収確保を狙う現実的な選択としては、当時の相続税の課税財産の中心である中小資産階層の相続財産に税源を求めざるを得ず、税率は10%〜60%と中小資産階層に対する課税が強化される改正となりました。

 

このように、シャベルが意図した税率の大幅な引き上げは成らず、廃止しようとした親族関係の※親疎に基づく税率区分は残り、贈与税は創設されたものの相続税とは統合されず、完全に実施されたのは、家督相続に対する優遇課税の廃止と申告納税制度の採用ということになってしまいました。
※親疎(しんそ)=親しいことと疎遠なこと。また、親しい人と親しくない人。

 


シャウプ勧告による税制改革

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シャベル勧告後、マッカーサー元帥に招聘(しょうへい)されたシャウプ博士の勧告に基づき行われた1950年(昭和25年度)の税制改正の中でも、相続税法は改正前の制度と比較して最も大きな改正が行われたものの一つでした。
改正の主要な事項は、

1.相続税と贈与税を統合する
2.被相続人との親疎の別による差別税率の廃止
3.累積的取得税の税率を25%〜90%とする

の3つでした。

 

シャウプ勧告による税制改革

また、具体的な課税方法については、それまでの遺産税方式を遺産取得税方式に切り替え、財産取得者が一生を通じて取得した財産すべてを総合累積して課税する計算方法に改正されました。

 

わが国の相続税は、1905年(明治38年)に創設され、50年近くにわたって遺産税方式が採用されてきましたが、シャウプ勧告による1950年(昭和25年度)税制改正により、遺産取得税方式の相続税と贈与税を組み合わせた、これまで世界のどこにもなかった「累積的取得税」に生まれ変わったわけです。

 

さらに、1947年(昭和22年度)改正後の相続税法では、納税義務者が、被相続人の直系卑属と配偶者である場合に適用される税率を10%〜60%とし、直系卑属と兄弟姉妹である場合には、13%〜63%、その他の納税義務者については、15%〜65%とされており、被相続人との近親者には税が軽減>されていました。

 

しかし、2013年(平成25年度)改正により、この差別税率は廃止され、1種類の累積的取得税の税率が採用されることとなりました。

 


サンフランシスコ講和条約と相続税

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サンフランシスコ講和条約と相続税改正

1951年(昭和26年)9月8日、サンフランシスコ平和会議において、日本が連合国との間で調印した講和条約が翌年の1952年(昭和27年)4月28日に発効し、日本は6年8ヶ月という長い連合国による占領下から独立を回復しました。

 

こうした中で、占領の終結を待っていた日本政府は、講和条約の発効前から早くも相続税制の改正に着手しています。

 

1952年(昭和27年度)税制改正においては、免税点を15万円から30万円に引き上げ、税率も20%〜70%にしています。

 

高い累進性を持ち、最高90%というシャウプ勧告による驚異的な税率は姿を消すことになりましたが、累積的取得税に関しては、このときには着手されておらず、免税点の引き上げと税率の改正が最優先課題だったことを示しています。

 

1953年(昭和28年度)税制改正においては、前年度において積み残した累積的取得税が廃止され、遺産取得税方式の相続税と、暦年ごとに財産取得者に課税される贈与税の2本立てとする改正が行われました。

 

シャウプ勧告により導入された累積的取得税は3年でなくなりました。


1958年(昭和33年度)の相続税改正

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1958年(昭和33年度)の相続税改正

1957年(昭和32年)12月の税制調査会による、「相続課税方式は遺産取得税体系を維持することが適当であるが、実際の取得財産により遺産総額に対する相続税の負担が大きく変わる方式はこの際、棄て、共同相続人が遺産を民法900条の相続分の割合により取得したものと仮定して算出した税額を、各相続人が相続により実際に取得した財産の価額に応じて納付させる方式をとることが適当である。」

 

との答申を受けて、1958年(昭和33年度)の税制改正により、遺産取得税方式から「法定相続分による遺産取得税方式と遺産税方式の併用方式」へと改正が行われました。

 

1957年(昭和32年)の税制調査会の答申では、「相続税の意義」等について、

1.個人の死亡の際に相続税を課税し、その富の一部を社会に還元することにより富の集中の抑制を行う
2.被相続人の生前に受けた社会及び経済上の各種の要請に基づく税制上の特典その他租税の回避等による負担の軽減を清算する

として相続税は税制上重要な役割を果たすものだと述べています。

 

シャウプ勧告では、財閥解体後における財閥復活阻止のための「富の集中排除」という占領政策としての色彩が強いものでしたが、ここで示された「富の集中抑制」は、現在、相続税の意義としていわれている「社会に還元」するためのものだとされ、公的な見解としては、相続税に社会政策的な意味を持たせたといえるでしょう。

 

戦前は家督相続であるならば、遺産分けにも相続税にも経済的に悩まずに済みました。相続に関する法律以外の都市化、教育、国際化などが大きな要因となっているのは確かではありますが、戦後の相続税法の改正が、現在の相続問題や家族制度に大きな影響を与えていることは間違いありません。

 


戦後相続税の変遷

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戦後相続税の変遷

 

基礎控除

税率

配偶者軽減

〜昭和22年5.2

免税点
家督相続:2万円
遺産相続:3千円

家督相続:1.5%〜55%
遺産相続:2.6%〜70%

配偶者は相続人でない

昭和22年5.3〜
財閥解体目的

5万円

直系卑属:10%〜60%
直系尊属:13%〜63%
兄弟姉妹その他
:15%〜65%

 
昭和25年1.1〜 15万円 25%〜90% 配偶者控除新設

昭和28年1.1〜
富の再分配目的

財産取得者ごとに50万円    
昭和33年1.1〜 150万円+30万円×法定相続人数   遺産3千万円以下、納付税額2分の1を税額控除
昭和50年1.1〜 2000万円+400万円×法定相続人数 10%〜75% 遺産の3分の1または4000万円のいずれか大きい額
昭和56年1.1〜     法定相続分または4000万円のいずれか大きい金額
昭和63年1.1〜 4000万円+800万円×法定相続人数 10%〜70% 法定相続分または8000万円のいずれか大きい金額
平成4年1.1〜 4800万円+950万円×法定相続人数 10%〜70% 法定相続分または8000万円のいずれか大きい金額
平成6年1.1〜 5000万円+1000万円×法定相続人数 10%〜70% 法定相続分または1億6000万円のいずれか大きい金額
平成16年1.1〜   10%〜50%  
平成27年1.1〜 3000万円+600万円×法定相続人数 10%〜55%  

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